虐待された子、虐待する親、そして支援者自身の心を理解する

児童虐待防止支援者のための講座


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  「児童虐待・事例検討会」の概要をご紹介します

事例検討・事例解説・支援方針の立案・講義を
グループスーパーヴィジョン形式で行います
 児童虐待には原因があります。それは母子間に愛着関係が成立していないことです。
 愛着関係とは、母親が子の感覚や感情を我がことのように感じ、子が寒そうにしていれば母親も同じ寒さを感じ、子が美味しそうに食べていれば笑みがこぼれる、そんな母子の関係です。愛着関係があれば、母親は子の痛みを自分の痛みとして感じてしまうので、子を叩き続けることはできません。だから、当たり前に愛着関係がある「普通の家庭」では虐待は起こりません。
 母子間の愛着関係が希薄だと、母子間の虐待が起こるだけでなく、母親が父子間の虐待を見逃したり容認してしまって、父親(や他の家族)からの虐待も起こりやすくなります。
 「児童虐待・事例検討会」では、@参加者から提示された虐待事例、もしくはA講師・事務局から提示した事例を分析して、正しい「見立て」を作り、その土台の上に具体的な援助・支援方針を立案していきます。実際には、次のような手順で解析を行います。

1. 母子間に愛着関係は成立しているか、否かを検討する。(実母が不在の場合、主たる養育者と子の間、実父との間、継母や継父との間、祖父母との間ではどうか、これらも同時に検討する)
2. 愛着関係不成立の原因は何かを検討する。@多くの場合は実母の「軽度」知的能力障害が原因ですが、他にもA父親の発達障害・精神障害や、B母親の被虐待体験などが愛着関係の問題(困難さ)を引き起こしています。
3. 愛着関係の不成立がどのように虐待につながったかを具体的に検討する。@母子の間、A父子の間、B同居者と子との間など、虐待内容・経過を家族成員間の力関係から分析する。
 これら3段階の解析ができて初めて、虐待事例に対する有効な援助・支援方針を立案することが可能となります。
 虐待の事実だけを確認して一時的な母子分離を実施したとしても、母親の発達障害(「軽度」知的能力障害)を見逃していれば、母子の再統合が行われた時に再び同じ虐待が繰り返されてしまいます。また、母親に被虐待体験による心的外傷があることを見逃していれば、母親に対して良かれと思って行った援助・助言等の支援が母親を追い詰めていく結果になり、支援者との関係が途切れてしまいます。
 事例検討会では、
 A.上記のようなステップに沿って個々の事例を検討し、見立てを確定し、
   援助・支援方針を立案します。
 B.必要に応じて、児童虐待を理解するための講義
    ・愛着関係について
    ・「軽度」知的能力障害について
    ・被虐待体験をもった母親の心的外傷について
    ・被虐待児の心理=反応性愛着障害および誤解されやすい疾患について
   を実施します。
 C.母子間の愛着関係を再構築するためのカウンセリング(心理・精神療法)の
   方法を助言します。



<事例検討のポイント>

 毎回、参加者から事例を提供していただき、事例のA.「見立て」とB. 援助・支援方針について講師とともに検討していきます。事例の提供がない場合は事務局・講師から提示することもあります。
 過去には子ども家庭支援センター、保健所、学校、児童養護施設、カウンセラー、産科病院などからたくさんの事例が提示されました。内容に応じて文書、メモ、口頭で提示され、そのうちの何例かは事例検討会の後も支援経過が逐次報告されて、参加者で共有し、問題が改善されていく過程を追うことができました。

●A. 見立てを作る
@虐待があるのかどうかの評価 / 誤報・誤認のチェック
虐待情報が入ってきた場合、実際の虐待内容の検討とともに、誤報・誤認のチェックも欠かせません。虐待の通告や通報には時々「誤報」が混じります。また通告や通報をうけた関係機関の「誤認」も起こります。検討会では誤報・誤認を見分ける方法も学びます。
A虐待内容(身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待)の確認およびその重症度(=特に生命の危険性)の評価
もっとも大切な評価は生命の危険性があるか否かです。それによって以後の対応が大きく異なります。
B虐待の原因の確定
多くの虐待は母親の「軽度」知的能力障害=愛着関係の不成立によって起こります。それを母親のどんな発言や行動から見分けるかを学びます。
C虐待者の精神状態の評価
発達障害=「軽度」知的能力障害、精神障害=統合失調症とその関連疾患、うつ病などの評価、および、虐待者自身の被虐待体験などを検討します。
D家族成員間の力関係の評価
誰が虐待を行い、他の家族はどうしてそれを止められないかなどを検討します。これは支援方針を立て、家族介入を行う時に重要な視点となります。
E子の精神状態の評価と社会適応レベルの評価
「軽度」知的能力障害は遺伝疾患なので子に同じ障害が見られる場合があります。また子に障害がない場合には、虐待による心的な外傷(=反応性愛着障害)の程度を評価することが重要で、子の支援方針を立てる時のポイントになります。

●B. 援助・支援方針を立てる
上記の見立てを土台にして適切な方針を立てていきます。支援方針は、母親(虐待者)と子(被虐待者)への方針を分けて考えます。
@母親(虐待者)の支援方針
母親に「軽度」知的能力障害があるか否かで支援方針は異なります。
 ()「軽度」知的能力障害がある場合、母親が育児のどの段階でつまずいているか、どのようなサポートがあれば負担が軽減するのかを検討します。
 () 母親が正常知能で被虐待者である場合、うつ病や解離性障害の評価、心理カウンセリングの可能性を考えます。
A子(被虐待者)の支援方針
子に発達障害や精神障害がある場合とない場合に分けて方針を立てます。発達障害等がない場合は、反応性愛着障害の程度を見きわめ、母親の見立てとの組み合わせで子の支援方針を決めていきます。



<講義内容のポイント>

 講義は提示された事例に関連する部分や参加者からの質問によって適宜行われます。
 重要なテーマは、
  (i) 母子間の愛着関係が成立しない原因としてもっとも多い母親の「軽度」知的能力障害と、
  (ii) 被虐待体験を持った母親の心理
 です。






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